    大草原のローラの仲間

    ローラ・インガルス・ワイルダー
    その作品と生涯におけるゆかりの人々

ミネソタ Minnesota

ウォルナット・グローブ

エリック・ネルソン

  プラム・クリークに住んでいたとうさんの隣人で、この地区の最初の永住者。当時はまだ26歳の青年だった。21歳のときノルウェーから渡ってきて、ミネソタ東部に３年住んだあと、西部のプラム・クリークに来た。半マイルほど先に住んでいたこのネルソンさんから、とうさんはハリソンの土手の横穴の家の話を聞いてきたのだった。
  ネルソンさんは、かあさんが病気のとき医者を呼んでくれたり、とうさんが木造の家を建てる際の手助けや、東部へ出稼ぎに行っていた間は、畑を手伝ってくれたりもした。
   奥さんはレナ（オリーナ）といい、そのとき、女の赤ちゃんのアンナがいた。ローラはネルソンの奥さんが好きで、よく遊びに行っていた。
  ネルソンさんは町で酒場を開いたり、とうさんの肉屋を譲り受けたりした。

イライアス・ビーダル

ローラはビードゥルと記憶していた。
イライアス・ビーダルは穀類・材木商で、彼の開拓小屋はウォルナット・グローブの敷地に最初に建てられた建物だった。1879年３月、ウォルナット・グローブが正式に町になったとき、初めての選挙で長に選ばれた。

ラファイエット・ビーダル

イライアス・ビーダルの兄弟。カナダ人。ウォルナット・グローブの最初の郵便局長で、最初の先生だった。兄弟で、町の正式な測量地図を作って貢献した。ローラがバー・オークから帰ってきたとき、気の毒に彼の男の赤ちゃんはコレラで亡くなっていた。
数年後にローラたちがシルバー・レイクにいたころ、ラファイエット自身も製材所の事故で亡くなったといわれる。

クレメンティーナ・ビーダル

郵便局長の奥さんで、たぶん学校の先生だった。ローラの記憶では、先生の名前はイーヴァ・ビーダルと覚えていたが。ＴＶドラマのビードゥル先生のモデルは、この人のことだろうか。

ネッティ・ケネディ

ウォルナット・グローブでローラとは仲良しだった。当時、ローラと同じ８歳で、両親はジェイムズ・ケネディとマーガレット夫婦。ウォルナット・グローブに新しい教会ができるまでは、礼拝は彼らの家で行われていた。兄弟にクリスティー(15歳)、キャサリン(13歳)、アレクザンダー(サンディー、10歳)がいた。
ローラたちがバー・オークから帰った翌年の８月に、ケネディ一家はミネソタのアミレットへ引っ越し、二度と会うことはなかった。ローラはネッティの家でお別れをした。

エイサン夫婦

インガルス夫婦の仲のよい友達。組合教会員で、教会の会計係に選ばれたこともある。娘のアンナはメアリーと同年。息子のウィラードは１歳年上。末っ子のハワードはローラといっしょに学校へ行ったことがあり、ローラに好意を持っていた。インガルス一家はバー・オークからウォルナット・グローブへ戻った当初、新しい家を建てるまでの冬の期間を、エイサン家でいっしょに暮らさせてもらったことがある。

ハワード・エイサン（エンスン)

ローラと同い年。兄弟にウィラード、アンナがいる。両親は組合教会員で、インガルスと友達だった。バー・オークから戻ったインガルス一家は、エイサン家でしばらく世話になった。日曜学校で聖句を間違えずに暗唱できたのはこのハワードとローラだけで、ごほうびに二人とも教会から聖書を貰った。

アサマ・タワー夫妻

タワーさんはウォルナット・グローブの教会の執事と日曜学校の校長を務めた人で、奥さんのジュリーさんも教会のために進んで働いていた。ジュリーさんはローラの日曜学校の先生だったとか。
タワーさんは10年後に移住したダコタの大草原で雷に撃たれて死亡。奥さんは気が狂って井戸でおぼれて亡くなったと、教会の記録に書かれているとのこと。

オルデン牧師（エドウィン・H・オルデン）

  1836年１月14日、コネティカット・リバーヴァレイにあるウィンザーという小さな村で生まれる。１月10日生まれのとうさんよりも４日だけ若かった。
  ダートマス大学からメイン州の神学校へ行き、牧師になるとすぐ国内宣教会の仕事に加わる。オルデン牧師の教会はミネソタを横切った東のワセカの村にあり、そこに奥さんのアンナと娘がいた。ウォルナット・グローブには布教のため訪れていた。
  のち、ミネソタ州を離れてダコタの伝道区に入り、全ダコタ・テリトリーの若い伝道監督ステュアート・シェルダン牧師とともに、新しい教会を建てに西へと向かった。デ・スメットでのオルデン牧師による最初の礼拝が測量技師の家で行われ、ボースト夫妻とインガルス一家が参加。メアリーにヴィントンの盲人大学の話をしたのもオルデン牧師だった。
『長い冬』では、オルデン牧師と教会の人たちが送った樽詰めのクリスマス・プレゼントが、５月になってようやくローラたちの家に届いたことが書かれている。

ウィリアム・オーエンズ夫婦

ウォルナット・グローブで雑貨店を経営。ニューヨーク出身の人で、彼の両親はウェールズ人。奥さんのマーガレットはカナダ生まれ。ネリーとウイリーの両親。ＴＶドラマのオルソン夫婦のモデル。

ネリー・オウエンズ

ネリー・オルソンのモデルの一人。ローラが８歳のときネリーは６、７歳で、きれいな子だった。弟にウイリーがいる。二人とも両親がミネソタに移住してから生まれた。ネリーはデ・スメットへは行っていない。西のカリフォルニア州に移り、結婚して３人の子供を持ったのが、たぶん、ネリーではないだろうか。

ウイリー・オウエンズ

ネリーの弟。爆竹の事故で盲目になったが、盲人学校を出て、のちに結婚し、３人の子に恵まれたという。

フィッチさん夫婦

ジョン・R・フィッチはニューヨークから来た青年で、奥さんはジョゼフィーン。当時、ほどなく２歳になる赤ちゃんのエイダがいた。雑貨店をやっていて、ローラとメアリーによくちっちゃなキャンディーをくれた。
ローラとメアリーがかあさんにプレゼントした50セントの櫛を、40セントに負けてくれたこともある。

モウゼス牧師（レナード・モウゼス）

ウォルナット・グローブの新しい常任の牧師。
息子のアルバートはローラと年が近く、学校や、遊びの友達だった。

ウィリアム・J・マスターズ

  ニューヨーク州生まれ。バー・オーク・ハウスの前の持ち主。
  バー・オーク・ハウスをステッドマンに売って、ウォルナット・グローブに茶色の木製の新しいホテルを建てた。
  奥さんのエミリーン、息子のウィル、ウィルの奥さんのナンシー（イギリス人）、その幼い娘のユージニアといっしょに、ホテルに住んでいた。
  ウォルナット・グローブのマスターズ・ホテルには、ヴァーモント州出身で医者のR・W・ホワイトも住んでいて、息子のウィルとは仲がよかった。
  バー・オークから帰ったあと、とうさんはしばらくマスターズのホテルで働いて、小さな家を建てるためのお金を貯めた。ローラも奥さんに頼まれ、週給50セントで働いたことがある。

サミュエル・D・マスターズ

  ウィリアム・マスターズの兄弟に、ウォルナット・グローブの学校の先生をしていたサミュエル・D・マスターズがいて、その娘がジェナヴィーブ・マスターズだった。サムにはジョージという男子と、リッシー、ジェシー、ジェニーという３人の女子がいた。
  サミュエル・マスターズはみんなからアンクル・サムと呼ばれていて、ローラが春の学期に学校へ戻ると、この先生になっていた。サムは先生のほかに測量技師と治安判事もしていた。
  「彼は背が高くてやせていて、歯が悪く、息がくさくて、小さな茶色の眼をしていて、頭がはげていた」とローラは思い出していた。生徒に話しかけるとき顔を近づけ手を取ってなで回すので、ローラは指の間にピンを挟んでおいたら、もう２度としなくなったという。
  サム先生が住んでいたのは、、教会の近くにある、以前ローラたちが住んでいた家だった。
  後にデ・スメットに移り、町の西の自作農地に住んだ。測量技師を始める。

ジョージ・マスターズ

サミュエル・D・マスターズの息子でジェニーの兄。マギーと結婚。
ウォルナット・グローブから夫婦でデ・スメットへやって来たとき、かあさんは二人をしばらく店に泊めてやった。その間にデ・スメットで最初の赤ん坊（息子）が生まれた。1880年の厳しい冬の間、ローラたち家族と一つ屋根で過ごしたが、ローラは『長い冬』には書かなかった。

マギー・マスターズ

ジョージ・マスターズの妻。スコットランド系の大柄でお人好しな感じの女性。
夫のジョージが鉄道建設の仕事に就くためデ・スメットを通りかかったとき、彼女が身重だったので、しばらく二人でインガルスの家に滞在させてもらった。

ジェナヴィーブ・マスターズ

デ・スメットの項を参照。

プール一家

プールさん夫婦とミズーリという名前のおとなの娘がいて、町のとうさんの新しい家のそばに住んでいた。ミズーリは両親のようにパイプを吸っていて、庭造りがとても上手だった。

ソープ先生（ディヴィッド・M・ソープ）

1878年の冬の学期に来たローラたちの新しい先生で、弁護士だった。本来の仕事があまりなかったので、学校で教えていた。ローラは、サム先生よりも、この先生のほうが好きだった。

クラレンス・スパー

冬の学期の新入生で鍛冶屋の息子。17歳でハンサムだったので、学校の女の子たちは彼のことでけんかをしたが、ローラはそれには加わらなかったという。

ゴフさん

元北軍の兵士で、馬車の製造と大工をしていた。奥さんはディーリアという。ベルという女の子がいて、ウォルナット・グローブで1878年に組織されたグッド・テンプラー禁酒会の講演がある晩には、ローラがベルの子守をした。

セイディ・ハーリー

  ナニー・マスターズ（マスターズ・ホテルの若奥さん）の姉妹のうちの一人。
  セイディは体の具合がわるかったため、ローラはウィリアム・マスターズの奥さんに頼まれて、1979年初めの冬の間の２週間、町から２マイル離れたこの夫人の家に泊まり込んで世話をした。セイディの主人のジョン・ハーリーは、刈り取ったクサキビで箒を作って町で売っていたが、その時期は、箒作りで忙しかったので、奥さんの面倒を見られなかった。
  ローラがハーリー家に滞在していたある日、とうさんもハーリーさんとほうき作りの日雇い仕事をしているのを見かけた。ローラはホームシックになる。

ウェルカム先生（ジェイコブ・W・B・ウェルカム）

  ニューイングランド人の医者。
  プラム・クリークでかあさんが病気になったとき、ニューウルムで開業していて、診てくれた。
  のちにメアリーの目を診てくれたときは、東に40マイルのスリーピーアイに住んでいて、ウォルナット・グローブを通る鉄道会社の一般外科医もしていたという。しかし、ウェルカム先生にも、メアリーの失明は止められなかった。

ウィリアム・ステッドマン夫婦

バー・オークの項参照。

ひとこと

  ＴＶドラマや原作（『プラム・クリークの土手で』）をみると、インガルス一家がカンザス州からミズーリ州・アイオワ州を通過して､ミネソタ州のプラム･クリークへそのまま移動したように設定されていますが、実際には一度ウィスコンシン州の大きな森へ帰り、そこで何年か暮らしてから、1874年２月の初めにミネソタ州に向けて出発したようです。この旅の途中でローラは満７歳の誕生日を迎えています。
  一家の住んだクリークの家からウォルナット･グローヴの村までは、約３キロの道のりがありました。ローラやメアリーはそこを歩いて学校に通ったのでした。のちにはウォルナット･グローヴの町（途中で町になった）のほうにも移りました。
  ウォルナット･グローヴのローラたちの暮らしは1879年の９月まで続きましたが、その間の１年を、とうさんの仕事の都合でアイオワ州のバー･オークで過ごしています。その後また、ウォルナット･グローヴに戻りました。
  NBC制作のTVドラマ「大草原の小さな家」は、このウォルナット･グローブを主要な舞台として制作されています。それ以後のダコタとかミズーリとかは登場しないので、アルマンゾのあたりから、ストーリーが何となく分かりにくくなってきています。
  ほかにも、とうさんと町で出会って養子になったローラの弟アルバートのことがこのＨＰには書かれていないため、気になっている方がおられるかもしれません。アルバートはドラマではかなり重要な役割を占めていますが、実は、登場するのはＴＶドラマだけで、原作には出てこないのです。
  実際のローラたちにもフレディーというウォルナット・グローヴ生まれの弟がいたのですが、１歳にもならないうちに急病でなくなってしまいました。そのため姉妹だけでは、とうさんがさびしいと考えて、マイケル・ランドンさんたちが、ドラマで養子として登場させたのかもしれません。ほかにも、番組制作上の必要性があったことも考えられるでしょう。
  アルバートという名前だけの男子なら、ローラのいとこにもいます。ヘンリーおじさんの子です。
  インガルス一家はウォルナット･グローヴに５年間も住んでいたので、友人や知人がたくさん出来ました。

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