    大草原のローラの仲間

    ローラ・インガルス・ワイルダー
    その作品と生涯におけるゆかりの人々

ダコタ dakota

デ・スメット

デ・スメット神父（ピエール・ジーン・デ・スメット）

ベルギーから来たカトリックの神父。ゼスイットの司祭。
スー族の許に来た宣教師で、ローラたちよりも40年も以前にダコタを訪れていた。インディアンたちに「黒衣さま」と呼ばれて、敬愛され、デ・スメットの町の名の元になっている。

ロバート・A・ボースト夫婦

  カナダ生まれの若い入植者で、ダコタにおけるインガルス一家の親友。ロバートは背が高く、たくましく、黒い髪をしていた。奥さんはエラ。
  鉄道敷設工事で働き、1879年内にはシルバー・レイク東の土地の申請手続きを済ませていたが、インガルス一家がシルバー・レイクに残ることを聞くとアイオワから花嫁エラを連れてきて共に過ごすことに決めた（『シルバー･レイクのほとり』に詳しい）。
  ボーストさんは奥さんをネルと呼び、奥さんはボーストさんをロブと呼んでいた。ローラは奥さんを「小柄でふくよかで陽気」で、明るい色の髪をして、空色のひとみの人だったと記憶していた。
  最初の冬の間、測量技師の家のそばの掘立小屋に住んでいたが、まもなく、デ・スメットから東へ２マイルにある、自分の農地の芝土の家へ引っ越した。
  かあさんは、ボースト夫婦をクリスマスのごちそうに招き、ボーストの奥さんは、インガルス一家を新年のごちそうに招待したので、どちらかが招待という、このしきたりが長年ずっと続いた。
  ボーストの奥さんは、後年足が不自由になったので、ボーストさんが世話をしている姿がよく見かけられたとのこと。

ウォルター・オグデン

1879年から80年にかけてインガルス一家がシルバー・レイクで冬を越した時、一番近くの距離に住んでいた隣人。
まだ若い独り者で、測量技師の家から数マイル東にあるプレストン湖畔の自分の農地にいた。いつも大草原を歩いてやってきて、頼まれた馬の世話をしながら、測量技師の家でとうさんやローラとよく西洋碁をしたり、新年を一緒に祝ったりした。

ヘンリー・ヒンズ

  ウィスコンシン州から来た若い靴屋。静かで礼儀正しかった。
  デ・スメットでは最初に建物を建てた人で、鉄道線路の近くに酒場を建てたが、すぐに取りこわされたという。
  測量技師の家にも泊まったことがある。

エドワード・H・カウス（クース）

  ２番通り角の金物店。
  とうさんがデ・スメットで自分の家を建てる前に、最初に建てた家を買った人で、金物店になった。
  ニューヨーク生まれで、イリノイ、ミネソタに住み、1879年にボルガに移動して、翌1880年にデ・スメットにやって来た。禁酒運動家で、南北戦争北軍の退役軍人会会員。
  次第に事業を広げ、1886年店舗を新築し、金物店の２階にオペラ・ハウスを造って、ダンス、音楽会、演劇、講演など、地域活動のセンターにした。

フラー兄弟（チャールトン・フラー、ジェラルド・フラー）

デ・スメットの金物店。ニューヨーク生まれ。1880年夏の人口調査に30歳と記録。双子だったとも考えられる。
ローラが『長い冬』に書いたのはジェラルド・フラーで、あわてて銃を発砲したため、貴重なレイヨウを逃がした人。たいへん字綴りができた。名前に頭文字が多いので、友人たちは「アルファベット」のフラーと呼んだ。

ジャック・ポップ

  ダコタ・テリトリーの東部で新聞社を経営していた印刷業者。
  春のラッシュにデ・スメットにやってきたポップさんは、フラー金物店の奥で印刷機を動かし、「キングズベリー・カントリー・ニュース」という新聞を印刷した。共同経営者のジョージ・マシューズはブルッキングズから来た弁護士だった。
  ローラはここで、美しい名刺を作った。

ホレイス・ウッドワース

デ・スメットの駅長。牧師だったが、鉄道の駅長になるために西部へ来た。そこで、オルデン牧師が西部に行って来られないときは、礼拝式も執り行った。

ブラウン牧師（エドワード・ブラウン）

  デ・スメットが入っている伝道区に新しく来た牧師で、熱意に燃えていたが、粗野な印象もあった。
  奥さんはローラという。娘のアイダは養女になる。
  ローラとアルマンゾの結婚式はブラウン牧師のもとだった。
  彼は、鉄道の駅の集会で第一組合教会を組織し、インガルス夫婦とメアリーも、創設会員になった。コネチカット生まれで弁護士の経験もあり、1884年に70歳で引退するまで牧師の職を務める。

アイダ・ブラウン（アイダ・B・ライト）

  1981年のデ・スメットの学校で、ローラの仲のよい友達のひとり。ブラウン牧師夫妻の養女。
  インガルスの農地にほど近い、町の南西の農地に住んでいた。黒い髪の、やさしい眼をした、ほっそりした女の子だった。
  エルマー・マッコネルという恋人ができ、のちに結婚。カリフォルニアに移住する。

エルマー・マッコネル

アイダ・ブラウンの婚約者で農夫。アイダとエルマーは、ローラとアルマンゾの結婚のとき証人にもなった。

エデルバート・ホーソン

息子のフランクと食料品店を経営。

ブラッドリー薬店

若いジョージ・ブラッドリーと奥さんのハティが経営。フラー金物店の隣り。

ロスタフ（ダニエル・ロスタフ）

  雑貨店主。
  厳しい冬の年、アルマンゾとキャップが命がけで運んできた小麦を高値で売ろうとして、みんなの非難を浴び、撤回した人。
  アイルランド系でペンシルベニア出身。のち南ダコタ小売商協会の会長にまで出世した。

ジョサイア・ホウェイリー

イリノイ州からやってきた石工。娘のニーヴァはグレイスの同級生。
彼の農地は、ボースト夫婦のすぐ隣で、二人とも自分の農地で長い冬を越した。

アーサー・シャーウッド

とうさんの店の裏にある、大きいほうの下宿屋。大工さんで、奥さんはジェニー。

マーガレット・ガーランド

とうさんの事務所の後方にあるもう１軒の下宿屋で、マーガレットは未亡人だった。
1879年の冬はヘンリー湖の近くの小さな開拓地で過ごし、ラヴィニア（ローラはヴィーンと呼んでいた）とフローレンスという二人の娘、それに息子のエドワード（キャップ）と一緒に暮らしていた。

フローレンス・ガーランド

ガーランドさんの娘の一人。
1880年当時18歳で、大草原の縁の２番通りにある学校の先生をしていた。11月、ローラとキャリーはこの学校へ行き始めた。そのときボールを投げたキャップは15歳。先生はキャップの姉さんだった。

エドモンド・ガーランド（キャップ）

  マーガレッド・ガーランドの息子。デ・スメットで、とうさんの事務所の真後ろに当たる下宿屋に住んでいた、ローラたちの同級生。
  最初の記録的な長い冬に、アルマンゾと危険を冒して雪の大草原に馬そりで出掛け、小麦を買って帰り、町の人たちを飢えから救った。
  のちに、脱穀機の爆発事故で若くしてなくなったという。

メアリー・パワー

デ・スメットの学校でローラの親友の一人。父親は仕立屋。
背の高い、黒い髪の女の子で、青い眼をしていた。長い髪は母親に上げてもらって、頭の後ろに結んでいた。銀行家と結婚した。

ミニー・ジョンソン

ローラの親しいクラス・メート。やせていて色白、顔は青白く、そばかすがあった。兄のアーサーも学校にいた。

フレッド・ギルバート

デ・スメットでローラの学校時代の同級生。ローラは、キャップとこの少年を好きだったとも。また、フレッドがローラを金曜夜のダンスに誘ったが、ローラは結局、断ったともいう。

ステラ・ギルバート

自作農地に病気の母親と一緒に住んで、介護をしながら暮らしていた少女。
作品中のネリーのモデルのひとりといわれ、アルマンゾが一時期、馬車に乗せていた。

オスカー・ルエル

ロイヤルとアルマンゾ兄弟のところで働いていたスウェーデン人の青年。

ベン・ウッドワース

  駅長のウッドワースさんの息子で、クラスメートの少年。
  ローラと同年で、眼が茶色、濃い色の髪をしていて、駅の２階に住んでいた。
  ローラとメアリー・パワーも誕生日に招かれたことがあり、『大草原の小さな町』に話が出ている。

ビアズリーさん

ホテルのうちの１件を経営。10歳のジムと13歳のウォルターは息子。

チョーンシー・クレイトン

織物店の主人。姑はマーサ・ホワイト。
夏の６週間、ローラが男物のシャツにボタン穴を作りに、週１ドル半の賃金で通った。『大草原の小さな町』にも出てくる。

ジェナヴィーヴ（ジェニー）・マスターズ

  サミュエル・D・マスターズの娘の一人で、物語に登場するネリー・オルソンのモデルの一人。ウォルナット・グローブの学校でローラといっしょだった。背が高くすらりとした少女で、ニューヨーク州から来た。
  ウォルナット・グローブではネリー・オーエンズとライバルだったが、のちに一家でデ・スメットに移って来て、やはり、ローラたちのいる学校に通った。
  卒業後は数カ所の学校で教え、1886年ピエール大学に入学。東部で結婚したという。

ガシイ・マスターズ

ジェニー・マスターズの姉。1884年秋の学期で新任の先生として下級生を受け持った。

ウィルキンスさん

デ・スメットでローラが先生の資格を取り、卒業前に３か月間を教えた学校の下宿先の人。ウィルキンス学校。

ハティ・ブラッドリー

薬屋の奥さんで1881年当時、23歳。美しいソプラノの声をしていて、「金曜日の文芸会」で独唱をした。それがすばらしいので、かあさんは思わず泣いてしまったという。

アーネスト・ペリー（アーニー）

インガルスの農地の南にある農地にいた。
ローラはその気がなかったが、アーニーはローラが好きで、そのため長く独身でいたと、ローラは何年もあとで書いている。

ルイス・ブチー（プシー）

  デ・スメットから南12マイルの開拓村に住んでいた。奥さんはリブで、ジョニーという小さな息子がいた。
  ３，４軒の開拓小屋が、広い大草原の中に寄り合うように立っている淋しい村で、そのうちの１軒が空き家になっていて、そこを学校に使っていた。
  ボーストさんがブチーさんを遠い親戚だと紹介。ブチーさんの要請で、15歳のローラは２ヶ月間、その村の学校で初めての教鞭を執ることになる。ローラにとってつらい毎日だったが、月20ドルもらえた。
  ブチーさんの家から学校まで半マイル。週末にはアルマンゾが迎えに来てくれた。ブチー学校が終わるまでにローラは16歳になっていた。作中では、ブチーさんは「ブルースターさん」になっている。

ブチーの奥さん（リブ）

ルイス・ブチーの妻。東部から開拓村に来ていたので、村の厳しい生活に馴染まなかった。そうした不満もあったためか、ブチー学校の先生として下宿していたローラには冷たく当たった。

マッキーさん

婦人服の仕立屋で、ブチー学校のあと、ローラはここの仕事を手伝った。それから、春には、マッキーの奥さんと娘さんといっしょに申請農地で暮らす仕事もした。マンチェスターから汽車に乗り、荷馬車に乗って大草原を北へ行った農地だった。ローラはホームシックになった。

フローレンス・ベル

婦人帽子店。
マッキーさんの農地から帰ったあと、ローラはここで働いた。そのとき、アルマンゾの姉さんのローラ・ワイルダーも、ベルさんの店で働いていて、６，７，８月といっしょに働いた。そのころ、ローラ・ワイルダーはイライザと一緒に暮らしていたのだった。

V・S・L・オウエン（ヴィドック・オウエン）

1983年、デ・スメットで秋の学級を受け持った先生。
ローラは先生が出した「野心」という題の作文を書いて褒められた。教育熱心なこの先生をローラは好きだったが、グレースはしかられたのでいやだと書いている。

E・A・フォアブッシュ

1884年最初の冬の間に２ヶ月くらい歌の学校を始めた人。ローラとアルマンゾも参加した。

ジョン・H・キャロル

２番通りの北側に店を出していた土地業者。郡の国政調査員に任命された。

シェルドンさん

樹木農地に住んでいた頃のアルマンゾ夫婦の隣人。ローラは自分たち二人の家が火事になったあと、シェルドンさんのところへ家事のきりもりをしに行ったことがある。

ひとこと

  1879年の９月に、ローラたちは鉄道の仕事に就いたとうさんのあとを追って、ウォルナット・グローブからダコタ準州に移動します。とうさんより遅れたのは、とうさんの仕事が軌道に乗るまでの時間を待つ意味もありましたが、何より失明したメアリーの体調がまだ思わしくなかったからでした。
  ローラたちはとうさんの働く売店や宿舎のある鉄道敷設現場にしばらくいたあと、越冬するため、、シルバー湖北岸の測量技師の家に引っ越し、そこで一冬を過ごしたのでした。深い雪に囲まれ、周囲から取り残された生活でしたが、幸いにも温かい部屋と十分な食糧に恵まれて、クリスマスや正月を、ボーストさんたちと楽しく過ごしました。そして、年が明けてから、とうさんは自作農地の申請を済ませ、春になると近くのデ・スメットの町に家を建て始めたのです。デ・スメットには、暖かくなると移住者がたくさん集まってきました。
  ローラはこの町でも原作にネリー・オルソンを登場させていますが、こちらのネリーは、ミネソタのネリー・オウエンズではなく、ジェニー・マスターとステラ・ギルバートをモデルとして合体させた、創作上のキャラクターと言われています。
  また『長い冬』からはローラの学友たちや、キャップ・ガーランド、アルマンゾも登場してきます。ローラはこのデ・スメットの学校で学び、青春を過ごし、やがて教員の資格を取りました。そして、18歳の時アルマンゾと結婚。大草原のアルマンゾの農地で新しい生活を始めたのでした。その様子は『シルバー湖のほとりで』『長い冬』『大草原の小さな町』『この輝かしい日々』のシリーズと、『はじめの四年間』とに詳しく書かれています。あのエドワーズさんも、『シルバー湖のほとりで』『長い冬』に、少しですが再登場しています。

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